1/1 mon

一度八時ごろに目を覚まし、リビングまで下りて行ったがあまりのねむさにふたたび自室に戻って睡眠をとった。そりゃ三時間半じゃきつい。おれの身体はそんな丈夫にできていない。十一時ごろにふたたび目を覚ますとまだ疲れはのこっていたものの、睡眠はもういいかなという気がした。あらためてリビングまで下りて行き、両親に新年のあいさつをし、母のつくった朝食をかるーくいただいた。雑煮の餅なしバージョンがやたらうまいとおもい、その旨をつたえると、きちんと出汁を取ったとのこと。さすが腐っても料理を生業にしているだけのことはある。ふだん朝食を摂る習慣がないため、寝起きはじぶんでもびっくりするくらい腹が減らない。実家にいた時は一日四食が当たり前だったのに。

正午前から不乗森神社へと初詣にむかう。地元の小ぢんまりした神社である。歩いて行ける距離で、去年は三人で歩いて行ったのだが、父が恒例の徒歩嫌いを発揮したため乗用車でむかった。専用の駐車場がいっぱいだったため近くの地区センターの駐車場に勝手に停めた。田舎だからできる行為だ。都会だとまず柵や鎖がしてあって侵入できないだろう。

さくさく歩く父に置いて行かれるかたちで母とふたりで境内へとむかった。風がつめたかった。何故か母がお参りのただしい方法(たぶんTVか何かで知った)を教授してくれた。人にはそれぞれ三つの大切な神社があって、うんたら、鳥居をくぐる際は、うんたら、手を洗う時の作法は、うんたら。信心深くないのでそれなりに聞いた。もちろん忘れたわけではない。今はまだ明確におぼえているけども、いつか忘れてしまってもどこかのタイミングでおもい出すだろう。それくらいにじぶんを信用してもいいという気がする。

小学生の時分にはずいぶんおおきく感じられた神社だったが、ほんとうに小ぢんまりしている。神楽殿の前で焚火をしていた。去年もそうだった。立ちのぼる煙が木漏れ日に照らされてはっきりとした光線の筋をつくっていた。昔の映画館のような(非実体験)遮光カーテンを閉じた体育館や視聴覚室で映像を見る時のような(実体験)感じがした。これとおなじことを去年もおもったはずだ。人の列にならんで五分ほどで賽銭箱の前に来た。三人でならんで鐘をならし、手をたたいたり頭を下げたりした。毎年、こころのうちでいうことはおなじだ。去年はありがとうございました。今年もよろしくね。

車にもどってから母とじぶんの都合でユニクロイトーヨーカドーに行った。ユニクロでは下着がほしかっただけなのだが、結果として他の衣服もおごってもらうこととなった。すいません。ありがとうございます。

イトーヨーカドーでは夕食の食材とキッチンタイマーを買った。夕食にサーモンのカルパッチョとトンボマグロの刺身をつくることになっていた。うまそうだったので目に入ったシマアジの柵も買った。

家にもどってから昼食。母の半手製(出来合いの、オーブンに入れて焼くだけの生地に手をくわえたもの)のピザを食した。ビールも飲んだ。枝豆も蜜柑も食った。自室にもどり、小説を書こうとおもったが、すこし書いたところで眠気が来たのでベッドに身をうつした。実家のベッドは最高に気持ちがいい。あと風呂も。バタイユ『エロティシズム』を1Pも読まないうちに眠った。目を覚ますと二十時だった。全身から疲れの大半が抜けているのがわかり、うれしくなった。そこから多少寝ぼけた頭で夕食をこしらえた。じぶんとしてはまったく空腹ではなかったが、ふたりは何か口にしたいようだった。適当に切った万葱とブロッコリースプラウトをあらかじめ白磁の大皿に盛り付けておき、うすくそぎ切りにしたサーモンでクリームチーズを巻いたものをその上に並べ置いた。その上にかるーくクレイジーソルトをふり、オリーブオイルかけ、アーリーレッドや笹切りした胡瓜やトマトでつくったマリネをのせた。黒胡椒をふり、母のつくったバジルソースやスプラウトの残りや銀杏切りしたレモンを周囲にあしらった。完成。我ながらうまそう。写真は母が撮影。f:id:lelel:20180102113304j:image

二品目は刺身。実家の包丁があまりにも切れないためおもわず笑ってしまった。これは特段いうこともなく、無難にこなした。刺身を引くのは久しぶりだという気がした。

二品つくったところでTと電話。主に新曲についてのあれこれを話した。こちらのかざらない感想をよろこんでいそうなのでよかった。意図的にやっているのだろうとばかり考えていた個所を無自覚にやっていると言うのでおどろいた。こちらの感想ではじめて気づいたらしい。天然かよ! ものをつくるさいの一回性についても話した。一回性というのは一度行ってしまった作業は取り消せないという意味で、決して即興性のことを指しているのではない。こういうことを考えるきっかけになったのはベンヤミンの影響だったけど、坂本龍一がじぶんがNHKのインタビュー番組でじぶんのイメージとまったく同じことを口にしていたのもおおきかった。Tは共感しているのかよくわからないふうだったけど、たぶんおれの説明が悪かったせいだろうな。きっとイメージは共有している、そんな気がする。

三十分ほど話したところで切り上げ、夕食をいただくことにした。ビールも飲んだ。黒豆も食った。二十一時二十分ごろだったとおもう。食後、自室に戻り、てきとうにネットサーフィンしながらちびちび小説を書いた。途中パワプロのサクセス動画にはまってしまい、時間を無駄にした。

新年の連絡をくれたあゆみさんとも多少やり取りしていた。が、途中で途切れた。

風呂にはいり、だれも観ていないのについていた『ニッポンのジレンマ』元旦SPをリビングで観ることにした。この番組はわりと好きで、録画して観るほどでもないが、やっていたら観てしまう。議論が俗っぽすぎて嫌気のさす瞬間も多々あるが、他人の視点や新しい知識をじぶんに持ちこむのにそれなりに使える気がする。内容について長々と書けそうだけど、時間がないのでやめておく。

視聴後、あゆみさんからまた連絡が来ていた。彼女のことを恋愛感情的に好きではないが、確実な好意を抱いている。そんな女性がここ一年ほどでぐっと増えた気がする。本来ひとりの恋人にあたえるはずの感情を数人に分散しているような感じがする。ちなみにだれとも肉体関係はない。きっと持ってしまえばまた感覚が変わるのだろう。この均衡をくずしたいような、くずしたくないような。

ちびちびと小説を書いていると、しだいに三部ラストのイメージができてきた。ほんとうに偶然なんだけど、今のところ三部とも約一万三千字だ。残りわずかになったところで力尽き、就寝。たぶん三時半を過ぎていた。