すべてがなつかしさになるのなら

すべてがなつかしさになるのなら

ぼくは今日という一日に

どんな希望を持てばいいのだろう

 

すべてがなつかしさになるのなら

きみの服や髪の匂い

春の風にふれたよろこびは

明日のぼくのどこに息づくのだろう

 

すべてがなつかしさになるのなら

死んだ人に何の意味があるのだろう

 

すべてがなつかしさになるのなら

生きていることは日々を縫い編んでは

ちいさく折りたたむようで

 

すべてがなつかしさになるのなら

ここにはもう気の抜けたサイダーしか必要ない

 

すべてがなつかしさになるのなら

あの苦さとさえ手を握ることもできたのか

 

すべてがなつかしさになるのなら

ぼくの欲求はどれも子どもの顔をして

 

すべてがなつかしさになるのなら

どうしてぼくは今のじぶんを満たすことをやめられないのだろう

 

すべてがなつかしさになるのなら

茹ですぎたブロッコリーもおいしく食べられる

 

すべてがなつかしさになるのなら

過去は決してひとつではなかったと

脳は世界をほこればいい

 

すべてがなつかしさになるとしても

きみのとなりで新鮮な何かにふれていたい

たとえそれがいつかのなつかしさの

さみしい横顔だとしても