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去年から知り合った一歳年下のWさんは自分が知る限り最もハイスペックな人間で、接していると本当に頭の良い人がこの社会への適合にステータスを全振りするとってこうなるんだなぁとほぼ畏敬の念に近い感動を覚えることがある。
そんな彼と知り合ったのは以前務めていた店でのカウンター越しだった。従業員と客の関係だったが、ふとした瞬間にお互いリトルトゥースだとわかり、そこで意気投合した。
彼は地頭がよく、エリートで、仕事もでき、気遣いもできるし、やさしいし、多才だし、物欲も強いし、それに見合った金もじゃんじゃん稼ぐし、そのすべての営為に対して前向きだ。そんな人間がオードリー若林のエッセイを購読し、他人に薦めるというのが自分には信じられなかった。
明らかに社会的強者には共感できないことばかりが綴られていると思えたからだ。
そんな彼と蜜月とも言える時期が有ったが、最近はどうも避けられているようだ。
理由はわからないが、きっと何か気にさわる言動を取ってしまったのだろう。
仕事以外だと他人への気遣いスイッチがオフになるポンコツなので、こういうことは有っても仕方がない。繊細なふりして、ぜんぜん繊細じゃないのは自分のよくないところだと思う。